大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成11年(ネ)4341号 判決 2000年11月09日

控訴人(原告) トニー・ウェイマン・クー

訴訟代理人弁護士 上野攝津子

北村行夫

前田裕司

市毛由美子

鈴木隆文

大井法子

渡邉良平

杉浦尚子

大江修子

古本晴英

被控訴人(被告) 株式会社 エーシーシープロダクション製作スタジオ

代表者代表取締役 菅谷信行

訴訟代理人弁護士 奥野雅彦

丸山敦朗

主文

一  原判決を次のとおり変更する。

二  被控訴人は、別紙物件目録記載一ないし六、八、九及び一九ないし二三の著作物を使用したアニメーション作品「アール・ジー・ビー・アドベンチャー」を頒布し、又は頒布のための広告・展示をしてはならない。

三  被控訴人は控訴人に対し、二五〇万円を支払え。

四  控訴人のその余の請求を棄却する。

五  訴訟費用は、第一、第二審とも、三分の二を被控訴人の負担とし、その余を控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一控訴人の求めた裁判

「一 原判決を取り消す。

二 被控訴人は、別紙物件目録記載の著作物を使用したアニメーション作品「アール・ジー・ビー・アドベンチャー」を頒布し、又は頒布のための広告・展示をしてはならない。

三 被控訴人は控訴人に対し、一五〇〇万円を支払え。」

との判決。

第二事案の概要

控訴人は、被控訴人に対し、別紙物件目録記載の図画(以下総称して「本件図画」といい、個別的には番号順に「本件図画一」などと表記する。)に係る著作権(複製権、翻案権)及び著作者人格権に基づいて、本件図画を使用したアニメーション作品の頒布、頒布のための広告及び展示の差止め並びに損害賠償を請求しているが、原判決は、本件図画が、控訴人と被控訴人との間の雇用契約に基づいて作成されたものであり、職務著作に係るもの(法人著作物)であることを理由に、被控訴人にその著作権が帰属するとして、控訴人の請求を棄却した。

一  前提事実(原判決が前提とし当審で当事者双方が陳述した事実)

1  当事者

控訴人は中国(香港)国籍のデザイナーであるが、平成五年七月一五日観光ビザで来日して以降、数回来日した。被控訴人は、アニメーション等の企画、撮影等を業とする株式会社である。

2  本件図画の創作

控訴人は、平成五年(一九九三年)七月ころから平成六年(一九九四年)一一月ころまでの間に本件図画を創作した。すなわち、本件図画一ないし五、一九ないし二三(二三は当審で追加)は、第一回目の来日期間中の平成五年(一九九三年)七月ころ、被控訴人が企画した株式会社セガ・エンタープライゼスへのプレゼンテーション用ゲームソフト「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」のサブキャラクターとして創作し、本件図画六及び九は第二回目の来日期間中の同年(平成五年=一九九三年)一一月ころ、被控訴人が企画した株式会社バンプレストへのプレゼンテーション用のキャラクターとして創作した。さらに、本件図画八は平成六年(一九九四年)四月上旬ころの香港滞在中に、本件図画七は第三回目の来日期間中の同年(平成六年=一九九四年)五月下旬に、本件図画一〇ないし一七は第三回目の来日期間中の同年(平成六年=一九九四年)一〇月から一一月ころまでの間に、被控訴人が企画した七〇ミリ・シージー・ステイション・シミュレーション・ライド・フィルム「アール・ジー・ビー・アドベンチャー」(RGBアドベンチャー)に用いるキャラクターとして、それぞれ創作した。被控訴人の前二者(株式会社セガ・エンタープライゼス及び株式会社バンプレスト)に係る企画は採用されなかったが、RGBアドベンチャーに係る企画が採用されたため、本件図画はすべて、RGBアドベンチャー用として使用されることになった。

3  RGBアドベンチャーの製作、配給等

被控訴人は、本件図画を使用したRGBアドベンチャーを製作し、これをショウスキャン用として米国のタレントファクトリー社に配給した。日本では、東京都世田谷区のテーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ2」におけるアトラクションとして上映されたが、控訴人の氏名は、同作品において本件図画の著作者として表示されていない。

二  争点

1  職務著作の成否

(被控訴人の主張)

控訴人と被控訴人は、平成五年七月一五日、控訴人が翌一六日から被控訴人の指示に従ってキャラクターデザインの原画の作成その他の労務を提供し、被控訴人が控訴人に対しその対価として毎月給与を支払い、かつ、賄い付きの下宿を提供するという内容で雇用契約を締結した。本件図画は、右雇用契約に基づき職務上作成されたものである。

そして、控訴人の本件図画の創作は、法人である被控訴人の発意に基づくもので、被控訴人の名義の下に公表することが予定されていたものであるから、法人著作物に該当し、その著作権は被控訴人が取得する。

(控訴人の反論)

控訴人と被控訴人は、平成五年七月二〇日、控訴人が被控訴人に対しキャラクターデザインの原画を作成提供し、被控訴人が控訴人に対しその対価を支払うという請負契約又は準委任契約を締結した。控訴人の創作した本件図画は、右請負契約又は準委任契約に基づくものであるから、その著作権は控訴人が取得する。

2  損害額

(控訴人の主張)

控訴人の著作権使用料相当の損害金は、一〇〇〇万円を下らない。また、控訴人の著作者人格権侵害による損害は五〇〇万円を下らない。

第三争点に対する判断

一  争点1(職務著作の前提となる雇用契約の成否)についての判断

1  まず、甲第二七、第二八号証及び乙第三〇号証並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められ、これに反する特段の証拠はない。

(一) 控訴人は、中国本土で生まれ、昭和五一年から香港に居住してきたが、アニメーション等のデザインに興味を持ち、大学においても、グラフィックデザイン等を専攻した経歴を有する。控訴人は、平成四年(一九九二年)ころから、アニメーションの製作スタジオを経営する「香港エーシーシー・ユナイテッド・プロダクション(香港ACC)」に在職したこともあって、日本のアニメーション製作技術の習得を希望していた。

(二) 被控訴人代表取締役の菅谷信行は、香港ACCに出資していたのが契機となって控訴人を知り、日本でアニメーション技術を習得したいという控訴人の希望の実現に協力することにした。

(三) 控訴人は、平成五年(一九九三年)七月一五日、観光ビザで来日したが在留期間が徒過したため同年一〇月一日香港に戻り(第一回目の来日期間)、同年一〇月三一日に観光ビザで再度来日し、平成六年(一九九四年)一月二九日まで日本に滞在した(第二回目の来日期間)。その後同年五月一四日まで香港に戻っていたが、その間の三月末に在留資格認定証明書の発行があり、就労ビザを取得したことから、同年(一九九四年)五月一五日から本格的に日本に滞在することになった(第三回目の来日期間)。

2(一)  本件図画一ないし五、同一九ないし二三は第一回目の来日期間に、本件図画六及び九は第二回目の来日期間に、本件図画八は第二回目の来日期間後の香港滞在中に、本件図画七及び一〇ないし一七は第三回目の来日期間にそれぞれ作成されたが、乙第三〇号証(被控訴人代表者菅谷信行の陳述書)、乙第三一号証(被控訴人取締役川崎健司の陳述書)、乙第三二号証(被控訴人取締役佐久間敏郎の陳述書)並びに川崎健司の原審証言及び被控訴人代表者菅谷信行の原審の本人尋問の結果中には、次の趣旨の陳述記載部分ないし供述部分が存する。

被控訴人の代表取締役菅谷信行は、控訴人の第一回目の来日に際し、控訴人に対し、他社における研修が困難であることを説明したところ、控訴人は被控訴人において勤務することを希望したため、菅谷は、被控訴人において控訴人を雇用することとし、賃金は月額一二万円とし、勤務時間その他の就労条件について説明し、控訴人も、これらの条件を了承した。菅谷は、その後被控訴人の本社において、出勤した控訴人に対し、従業員が業務上作成した著作物の著作権は被控訴人に帰属する旨の条項が記載されている就業規則を示しながら、勤務条件等を重ねて説明した。

以上の趣旨の陳述記載部分ないし供述部分である。

(二) しかしながら、右の陳述記載部分ないし供述部分は採用し難いものといわざるを得ない。

すなわち、本訴において提出された被控訴人の就業規則で印刷されたものは、乙第九号証のみであって、それ以前に印刷されたものは提出されていないところ、川崎健司の原審証言によれば、乙第九号証の就業規則が印刷されたのは一九九四年(平成六年)一月以降であるというのである。そして、乙第九号証には、一九九三年一月の社内就業規則と記載されているが、冒頭に掲記の被控訴人の渋谷区千駄ヶ谷一丁目所在のスタッフルームの部屋番号五〇一号室は、一九九三年(平成五年)一二月に移転した新しい部屋番号であること(被控訴人代表者菅谷信行の原審本人尋問の結果)からも、乙第九号証が印刷されたのがそれ以降であることは明らかである。したがって、乙第九号証をもって、控訴人の第一回目の来日期間の一九九三年(平成五年)七月ないし九月当時、就業規則が印刷されたものとして存在していたことを認めるには疑問があり、また、他にその当時、被控訴人の事務所に印刷された就業規則が存在していたことを認めるべき客観的な証拠はない(原審における菅谷信行及び川崎健司の供述中には、乙第九号証と同内容の就業規則は一九九三年一月以前から存在していて、印刷された就業規則が社長室に掲示されていた旨の部分があるが、その存在をうかがわせる書証等の提出はない。)。

右の点と、甲第二六号証(その当時被控訴人に勤務していた船橋恵美子作成の報告書であり、当時、被控訴人に就業規則が存在していたことはなかったとの報告記載がある。)及び甲第二七号証(控訴人作成の陳述書)に照らせば、一九九三年(平成五年)七月当時、被控訴人において印刷された就業規則があったものと認めることはできない。

そうである以上、当時、菅谷が就業規則を示して勤務条件を控訴人に説明したとの前記陳述記載部分ないし供述部分は、客観的な資料に基づくものとはいえず、採用することができない。

(三) 乙第八号証の一ないし七は控訴人に対する被控訴人の「給料支払明細書(控)」であり、そこには、控訴人が被控訴人から、第一回目及び第二回目の来日期間中である平成五年八月分ないし平成六年二月分として、毎月、基本給名目で一二万円(さらに、平成五年八月分は特別手当の名目で五万円)の支給を受けた旨の記載がある(ただし、控訴人が平成六年一月二九日香港に戻っていた間の平成六年三月ないし五月分のものはない。)。控訴人も、第一回目及び第二回目の来日期間である約六月間にこれら合計七七万円の支払を受けていたこと自体を争っているものではない。

しかしながら、そこには、健康保険料や雇用保険料、所得税等の控除はなく(甲第三九号証(第二東京弁護士会会長に対する池袋公共職業安定所所長からの回答書)によれば、控訴人が雇用保険被保険者資格を取得したのは、第三回目の来日期間中の平成七年四月一日であったことが認められる。)、控訴人が右額の支払を受け、その支払名目が給料とされていたことをもってしても、控訴人が被控訴人との間で雇用契約を締結したことを認めることはできない。

3  したがって、前記2(一)に記載の陳述記載部分ないし供述部分をもって、被控訴人主張のように、平成五年七月一五日の第一回来日時に雇用契約が締結されたことを認めることはできないし、他にこれを認めるべき的確な証拠はない。そもそも、第一回目及び第二回目の短期間の来日に際しては、控訴人は就労目的の来日ビザを取得していなかったのであり、本訴における当事者双方の主張及び提出証拠からは、当事者それぞれの当初の意図、目的に若干のずれがあり、当事者間の法律関係が一義的、明確に合意されていたとはいえないことがうかがわれ、第一回目及び第二回目の来日期間中に控訴人が創作した著作物が雇用契約に基づくものであると認めるには、控訴人が就業規則を提示されたことの確認書あるいは雇用契約書の存在など何らかの明確な客観的な証拠を要するところ、本訴においてこれらの証拠はないといわざるを得ない。

なお、甲二七号証(控訴人の陳述書)及び弁論の全趣旨によれば、平成五年七月から同年一二月までの日本滞在中は、賄い付きで被控訴人従業員宅に居住し、その費用は被控訴人において負担したこと、及び控訴人は被控訴人のオフィスにおいて作業をしていたことは控訴人においても争っていないことが認められるが、控訴人の原審供述及び弁論の全趣旨によれば、この間は、控訴人についてタイムカードや欠勤届、外出届等による勤務管理はされていなかったことが認められ、また、右2で説示したところを合わせ考えると、右事実をもってしても、控訴人と被控訴人との間の雇用契約を認めるに足りるものではない。

4  これに対し、乙第八号証の八ないし三二(給料支払明細書(控))によれば、控訴人は、第三回目の来日期間中の平成六年(一九九四年)五月一六日から平成八年(一九九六年)六月五日までの間、被控訴人から、一か月当たり基本給名目で二四万円、特別手当名目で一万円(平成七年五月分以降は更に交通費九〇〇〇円)の支給を受け、これから雇用保険料(一〇〇二円又は一一二七円)、所得税(一万三一七〇円又は一万二八〇〇円)及び雑費(平成七年四月分まで月額四万円)の控除を受けるに至っており、右内訳が明記された給与支払明細書の交付も受けていることが認められる。また、乙第七号証(控訴人作成の退職届)によれば、控訴人は被控訴人に対し、平成八年六月六日付けで退職届けを提出したことが認められ、前記甲第二七号証によれば、控訴人は、平成七年四月から独立して居住するようになり、被控訴人との関係においてはタイムカードその他の届けによる勤務管理がされるようになったことが認められる。

右のように一二万円から二五万円に一か月当たりの支払額が増額されたのは、控訴人が就労ビザを取得して来日した第三回目の来日の際においてであり、その際に被控訴人が控訴人に就業規則を提示したことを認めるべき的確な証拠はないものの、就労目的の来日ビザを取得した上でのものであり、雇用保険料、所得税等の控除が行われ、前示のとおりこの間の平成七年四月一日に、控訴人は雇用保険被保険者資格を取得していたことなどからすると、第三回目の来日の平成六年(一九九四年)五月一五日の翌日からは、控訴人は雇用契約に基づき被控訴人に勤務するようになったものと認めることができる。

5  以上判示したところに従えば、第一回目の来日期間中に作成、創作された本件図画一ないし五及び一九ないし二三、第二回目の来日期間中に作成、創作された本件図画六及び九並びにその後の香港滞在中に作成、創作された本件図画八については、雇用契約に基づき職務上作成されたものであるとする被控訴人の主張は認めることができず、著作権法一五条一項の規定に基づき被控訴人が著作者であると認めることはできないし、また後に被控訴人がその著作権の譲渡を受けたことの主張、立証もない。しかし、第三回目の来日期間中に作成、創作された本件図画七及び一〇ないし一七は、被控訴人と控訴人との間の雇用契約が成立した後に作成、創作されたものであり、また、前示事実及び弁論の全趣旨に照らし、本件図画七及び一〇ないし一七の作成は法人である被控訴人の発意に基づくものであり、かつ、これらの本件図画は被控訴人の法人名義の下に公表することが予定されているものであると認められるので、著作権法一五条一項の規定に基づき、被控訴人が著作者であると認めることができる。

二  著作権及び著作者人格権侵害並びに差止請求についての判断

前示のとおり、被控訴人は、本件図画を使用したRGBアドベンチャーを製作し、これをショウスキャン用として米国のタレントファクトリー社に配給し、日本では、東京都世田谷区のテーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ2」におけるアトラクションとして上映されたものであるところ、控訴人の氏名は、RGBアドベンチャーにおいて本件図画の著作者として表示されておらず、被控訴人のこれらの製作、配給等は、控訴人の本件図画一ないし六、八、九及び一九ないし二三の著作権及び著作者人格権を侵害するものである。

そして、《証拠省略》によれば、RGBアドベンチャーにおいて使用されている控訴人著作に係る右の本件図画は、不可分的にRGBアドベンチャーに使用されているものであり、また、被控訴人がRGBアドベンチャーを配給するおそれがあると認められるので、本件図画一ないし六、八、九及び一九ないし二三を使用したRGBアドベンチャーの頒布、又は頒布のための広告・展示の差止めを求める控訴人の請求は理由がある。

三  争点2(損害額)についての判断

1  著作物使用料相当損害金

被控訴人が、本件口頭弁論終結時においてRGBアドベンチャーの配給等により何らかの対価を得たこと、及び、得たとしてその額がいかなるものであったかを認めるべき的確な証拠はない。これらの事実、あるいは、控訴人の著作物の使用に対する一般的な対価額については、控訴人による具体的な根拠を示す主張、立証のないところである。さらに、《証拠省略》によれば、控訴人の知人のサム・リーの妻・黄雅恵が、控訴人の来日前の平成五年(一九九三年)四月二六日付けファクシミリ送信で被控訴人代表取締役の菅谷信行に伝えたところによると、控訴人は、自己が作成、創作する図画の著作権の帰属に強い関心を示していたことが認められるが、その反面、本訴提起前に被控訴人に対しその対価額の取決めないしその支払の交渉をした事実を認めるべき証拠はない。

しかしながら、控訴人の著作物である本件図画一ないし六、八、九及び一九ないし二三(計一三作品)が被控訴人製作のRGBアドベンチャーに使用されており、被控訴人は、少なくとも過失により控訴人の有する著作権を侵害したものというべきであるから、控訴人に対し、右著作物の使用料相当の損害金を支払わなければならない。そして、前認定のとおり、控訴人が右の本件図画一三作品を創作した第一回目及び第二回目の来日期間約六か月間に被控訴人から基本給名目で受け取っていた一か月当たり一二万円と、第三回目来日以降被控訴人から受け取った一か月当たり基本給額二四万円及び特別手当一万円合計二五万円との差額が一か月当たり一三万円であって、その六か月分は七八万円となることに合わせ、エンターテインメント関係雑誌においてRGBアドベンチャーの製作費が三億四〇〇〇万円と紹介されている事実からすると、控訴人が著作権を有する本件図画一三作品の一点当たりの使用料は十数万円を下回らないものと推認すべきことなどの事情を総合勘案すると、被控訴人が控訴人に賠償すべき右の本件図画一三作品の著作物の使用料相当損害金は一五〇万円を下回るものではないものと認めるのが相当である。

2  著作者人格権侵害の損害

控訴人の氏名が、RGBアドベンチャーにおいて、前記控訴人が著作権を有する図画の著作者として表示されていないことは、前示のとおりであること、甲第二三及び第二五号証のエンターテインメント関係雑誌において、RGBアドベンチャーの製作費が三億四〇〇〇万円と紹介されていること、他方、被控訴人は、現段階ではRGBアドベンチャーの本格的配給を差し控えていること、その他RGBアドベンチャーにおいて控訴人が著作権を有する図画が使用されている範囲など、本件に表れた一切の事情を勘案すれば、控訴人が本件図画一ないし六、八、九及び一九ないし二三の著作物の著作者人格権侵害によって被った無形の損害額は、一〇〇万円をもって相当と認める。

3  被控訴人が賠償すべき合計額

よって、被控訴人は控訴人に対し、右1、2の合計二五〇万円の損害を賠償する義務がある。

第四結論

よって、主文のとおり原判決を変更する。

(裁判長裁判官 永井紀昭 裁判官 塩月秀平 橋本英史)

<以下省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例